2009―――Jordan

2010-09-19

◆rana


 
 
彼女の名前は「ラナ」
 
5年生、バークラスの女の子
 
 
 
先天的なものなのか、後天的なものなのか
 
分からないけど
 
彼女は、手が自由に動かせない。
  
右手も左手も、ずっと痙攣したような動きをしている。
 
 
知的にも少し遅れがあるのかな、うまく話せない。
    

だけど、いつも周りには友達がいて、
 
楽しそうに遊んでいる。
 
 
周りの子たちもまた、彼女が困ったときには、
 
何気なく自然に手を差し伸べてる。
  
―――そういう姿があった。
 
 

去年から彼女を見ている。
   
だけど、彼女が絵を描いているところを見たことがなかった。
 
 
 

―――放課後

 
バナナを持って、彼女に近づいた。
 
「描きたい絵があるんやけど、日本人やし、分からへんねん。手伝ってくれる?」
  
 
 
「私、描けないよ」と言いつつも、
 
にこにこしながらついてきてくれた。
  

空部屋で、友達の見守る中、 
 
紙の上で、線のスタート地点から、ゴール地点までゆっくり指でなぞった。
 
彼女はそれを見て、覚え、
 
両手で鉛筆をにぎって、動かした。
 
 
―――友達は紙が動かないように支えてくれた。
  
 
40分かけて、1枚の絵が出来上がった。
   
 
 
【モスク】

   
下の◇は、ラナ一人で描いた。 
 
40分かけて一人で描いた。 
 
 
この学校に特別支援教育なんてない。 

美術の時間、彼女はいつも友達の絵を見てるだけだった。
 
  
けど、「一番好きな授業は何?」って聞くと、
 
いつもにこにこしながら
 
「ラスム(美術)」と答えてくれた。
 

この学校にきて、一番好きな作品かも。
 
 (―――あ、バナナはただの囮(オトリ)です。)

帰り道、
  
「今日、生まれて初めて絵描いた」
 
って言ってた。
 
 
 デビュー作に出逢えるなんて滅多にない。
 
なんか嬉しかったねん。
 
 
ラナの2作目も楽しみです。  
 

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